iOS アプリケーションの基本機能のコード作成、ビルド、テストは、Adobe ツールのみを使用して実行できます。ただし、デバイスに iOS アプリケーションをインストールし、そのアプリケーションを配布するには、有料サービスである Apple iOS Developer Program に登録する必要があります。iOS Developer Program への登録後は、iOS Provisioning Portal にアクセスし、このポータルで Apple から次のアイテムやファイルを取得できます。これらは、デバイス上にアプリケーションをインストールして、テストやその後の配布を実行するために必要となるものです。これらのアイテムおよびファイルには次のものがあります。
アプリケーションコンテンツの作成
「Hello world!」というテキストを表示する SWF ファイルを作成します。このタスクは、Flash Professional、Flash Builder、または他の IDE を使用して実行できます。この例では、テキストエディターと、Flex SDK に含まれるコマンドラインの SWF コンパイラーだけを使用します。
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アプリケーションファイルを保存するディレクトリを任意の場所に作成します。「
HelloWorld.as
」という名前のファイルを作成し、お好みのコードエディターでファイルを編集します。
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次のコードを追加します。
package{
import flash.display.Sprite;
import flash.text.TextField;
import flash.text.TextFormat;
import flash.text.TextFieldAutoSize;
public class HelloWorld extends Sprite
{
public function HelloWorld():void
{
var textField:TextField = new TextField();
textField.text = "Hello World!";
textField.autoSize = TextFieldAutoSize.LEFT;
var format:TextFormat = new TextFormat();
format.size = 48;
textField.setTextFormat ( format );
this.addChild( textField );
}
}
}
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amxmlc コンパイラーを使用してこのクラスをコンパイルします。
amxmlc HelloWorld.as
「
HelloWorld.swf
」という SWF ファイルが同じフォルダー内に作成されます。
注意:
この例では、amxmlc が存在するディレクトリを含むように環境パス変数を設定していることを前提としています。パスの設定について詳しくは、
PATH 環境変数
を参照してください。別の方法として、amxmlc やこの例で使用されるその他のコマンドラインツールへの完全なパスを入力することもできます。
アプリケーションのアイコンアートと起動画面アートの作成
すべての iOS アプリケーションには、iTunes アプリケーションとデバイス画面のユーザーインターフェイスに表示されるアイコンがあります。
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プロジェクトディレクトリ内にディレクトリを作成して、icons という名前を付けます。
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icons ディレクトリに PNG ファイルを 3 つ作成します。それぞれに Icon_29.png、Icon_57.png、Icon_512.png という名前を付けます。
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PNG ファイルを編集して、アプリケーションに適したアートを作成します。ファイルは 29 x 29 ピクセル、57 x 57 ピクセル、512 x 512 ピクセルである必要があります。このテストでは、アートとしてべた塗りの正方形を使用します
注意:
Apple App Store にアプリケーションを送信するときは、PNG 形式ではなく JPG 形式の 512 ピクセルファイルを使用します。PNG 形式のファイルは、開発版のアプリケーションをテストするときに使用します。
すべての iPhone アプリケーションで、アプリケーションが iPhone にロードされる間、起動画面イメージが表示されます。起動画面イメージは PNG ファイルで定義します。
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メインの開発ディレクトリに、Default.png という名前の PNG ファイルを作成します(このファイルは icons サブディレクトリに入れないでください。必ず、大文字の D を使用した Default.png という名前を付けてください)。
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幅 320 ピクセル、高さ 480 ピクセルになるようにファイルを編集します。ここでは、コンテンツは単純な白の長方形にしておきます(これは後から変更します)。
これらのグラフィックについて詳しくは、
アプリケーションアイコン
を参照してください。
アプリケーション記述ファイルの作成
アプリケーションの基本プロパティを指定するアプリケーション記述ファイルを作成します。このタスクは、Flash Builder などの IDE やテキストエディターを使用して実行できます。
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HelloWorld.as が保存されているプロジェクトフォルダーで、「
HelloWorld-app.xml
」という名前の XML ファイルを作成します。お好みの XML エディターでこのファイルを編集します。
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次の XML を追加します。
<?xml version="1.0" encoding="utf-8" ?>
<application xmlns="http://ns.adobe.com/air/application/2.7" minimumPatchLevel="0">
<id>change_to_your_id</id>
<name>Hello World iOS</name>
<versionNumber>0.0.1</versionNumber>
<filename>HelloWorld</filename>
<supportedProfiles>mobileDevice</supportedProfiles>
<initialWindow>
<content>HelloWorld.swf</content>
<title>Hello World!</title>
</initialWindow>
<icon>
<image29x29>icons/AIRApp_29.png</image29x29>
<image57x57>icons/AIRApp_57.png</image57x57>
<image512x512>icons/AIRApp_512.png</image512x512>
</icon>
</application>
この例では単純化のため、設定可能なプロパティのうち、一部のみが設定されています。
注意:
AIR 2 以前を使用している場合は、
<versionNumber>
エレメントではなく
<version>
エレメントを使用する必要があります。
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iOS Provisioning Portal で指定したアプリケーション ID と一致するよう、アプリケーション ID を変更します(ID の先頭のランダムなバンドルシード部分は含めないでください)。
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ADL を使用してアプリケーションをテストします。
adl HelloWorld-app.xml -screensize iPhone
デスクトップにウィンドウが開き、そこに「Hello World!」というテキストが表示されます。表示されない場合は、ソースコードおよびアプリケーション記述子に誤りがないかどうかを確認してください。
IPA ファイルのコンパイル
この時点で、ADT を使用して IPA インストーラーファイルをコンパイルできます。P12 ファイル形式による Apple 開発用証明書と秘密キー、および Apple 開発用プロビジョニングプロファイルが必要になります。
ADT ユーティリティを次のオプションを指定して実行します。keystore、storepass、provisioning-profile の各値については、独自の値に置き換えてください。
adt -package -target ipa-debug
-keystore iosPrivateKey.p12 -storetype pkcs12 -storepass qwerty12
-provisioning-profile ios.mobileprovision
HelloWorld.ipa
HelloWorld-app.xml
HelloWorld.swf icons Default.png
コマンド全体を 1 行で入力します。上記の例では、コマンドをわかりやすくするために改行を使用しました。実際には改行を使用しません。
ADT によって、プロジェクトディレクトリ内に「
HelloWorld.ipa
」という iOS アプリケーションインストーラーファイルが生成されます。IPA ファイルのコンパイルには数分かかる場合があります。
デバイスへのアプリケーションのインストール
テスト用 iOS アプリケーションをインストールするには:
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iTunes アプリケーションを開きます。
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このアプリケーションのプロビジョニングプロファイルを iTunes にまだ追加していない場合は、追加します。iTunes で、ファイル/ライブラリに追加を選択します。次に、ファイルタイプ mobileprovision のプロビジョニングプロファイルを選択します。
この時点では、開発デバイスでアプリケーションをテストするために、開発用プロビジョニングプロファイルを使用します。
後で、アプリケーションを iTunes Store に配布するときに、配布プロファイルを使用します。アプリケーションをアドホックで(iTunes Store を経由せずに複数のデバイスに)配布するには、アドホックプロビジョニングプロファイルを使用します。
プロビジョニングプロファイルについて詳しくは、
iOS 用の設定
を参照してください。
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一部のバージョンの iTunes では、同じバージョンのアプリケーションが既にインストールされている場合、アプリケーションは置き換えられません。この場合は、デバイスおよび iTunes のアプリケーションリストから、該当するアプリケーションを削除します。
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アプリケーションの IPA ファイルをダブルクリックします。このファイルが iTunes のアプリケーションのリストに表示されます。
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コンピューターの USB ポートにデバイスを接続します。
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iTunes で、このデバイスの「アプリケーション」タブを確認し、インストールするアプリケーションのリストで該当するアプリケーションが選択されていることを確認します。
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iTunes アプリケーションの左側のリストでデバイスを選択します。「同期」ボタンをクリックします。同期が完了すると、Hello World アプリケーションが iPhone に表示されます。
新しいバージョンがインストールされない場合は、デバイスおよび iTunes のアプリケーションリストからアプリケーションを削除し、この手順を再度実行します。現在インストールされているアプリケーションで、インストールしようとしているアプリケーションと同じアプリケーション ID とバージョンが使用されている場合に、この問題が発生することがあります。
起動画面イメージの編集
アプリケーションをコンパイルする前に、Default.png ファイルを作成しました(
アプリケーションのアイコンアートと起動画面アートの作成
を参照)。この PNG ファイルは、アプリケーションのロード中に、起動画面イメージの役割を果たします。iPhone でアプリケーションをテストしたときに、起動時にこの空の画面が表示されることに気づいた方もいるでしょう。
このイメージを、アプリケーション(「Hello World!」)のスタートアップスクリーンと一致するように変更する必要があります。
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iPhone デバイスでアプリケーションを開きます。最初の「Hello World」というテキストが表示されたら、ホームボタン(画面の下)を長押しします。ホームボタンを押したまま、電源 / スリープボタン(iPhone の上部)を押します。これでスクリーンショットが撮影され、カメラロールに送信されます。
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iPhoto またはその他の写真転送アプリケーションから、このスクリーンショットイメージを開発コンピューターに転送します(Mac OS では、イメージキャプチャアプリケーションも使用できます)。
スクリーンショットイメージは、次の手順で開発コンピューターにメールで送信することもできます。
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Default.png ファイル(開発ディレクトリ内)を、PNG 形式のスクリーンショットイメージに置き換えます。
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アプリケーションを再コンパイルして(
IPA ファイルのコンパイル
を参照)、デバイスに再インストールします。
これで、アプリケーションのロード時に新しいスタートアップスクリーンが使用されます。
注意:
サイズが正しければ(320 x 480 ピクセル)、どのようなアートでも、Default.png ファイルとして作成できます。ただし、多くの場合には、Default.png イメージには、アプリケーションの初期状態と同じイメージを使用することをお勧めします。
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