シーケンスの指定

XDC Editor では、あらかじめ定義された一連のシーケンス名に対応する PDL ステートメントを指定できます。それらのシーケンスは、XML で表現されたプリンタープログラミング言語の一部です。シーケンスを変更する前に、それに関連する PDL シーケンスの規則を確認しておく必要があります。

PDL シーケンス

この PDL シーケンスとは、PDL 構文の中に Output が挿入する短い PDL シーケンスのことです。また、この PDL 構文は、印刷ジョブの特定の時点(ページやレコードの印刷開始時点など)でプリンターに送信されます。Output は、イベント(印刷ジョブの開始、印刷ジョブ内の新しいドキュメントの開始、または線の描画など)を実行するために PDL シーケンスを追加します。

個々のシーケンスには、そのシーケンスを一意に識別する名前が関連付けられています。XDC Editor では、あらかじめ定義された名前に関連付けられているシーケンスを変更することができます(あらかじめ定義された変数を参照してください)。

あらかじめ定義された変数

XDC ファイルには、あらかじめ定義されたいくつかの変数(シーケンス名、プリンター固有の変数など)が含まれています。

シーケンス名

インストール時に提供される XDC ファイルには、あらかじめ定義されたシーケンスが含まれています。必要であれば、XDC Editor を使用してそれらのシーケンスを変更することができます。PostScript および PCL の XDC ファイル用に定義されている名前は、ラベルプリンターの XDC ファイル用に定義されている名前とは異なります。

PostScript および PCL の XDC ファイル用のあらかじめ定義されたシーケンス名を次の表に示します。

名前

PostScript

PCL

シーケンスが呼び出されるタイミング

preDoc

プリンターをドキュメント用に設定する場合。このシーケンスは、preamble シーケンスの後、または preRecord シーケンスの前に呼び出されます。XDC Editor では、preamble シーケンスを編集できません。

postDoc

ドキュメントの処理後にプリンターを設定する場合。このシーケンスは、postRecord シーケンスの後、または postamble シーケンスの前に呼び出されます。

preRecord

個々のレコードの前にプリンターを設定する場合。「レコード」とは、繰り返し出現するデータセットです。通常、1 件のレコードには 1 件のフォームインスタンスからのデータが含まれています。

postRecord

個々のレコードの後にプリンターを設定する場合。

prePage

個々のページの前にプリンターを設定する場合。

postPage

個々のページの後にプリンターを設定する場合。

paginationSimplex

長辺綴じ両面印刷を設定する場合。この設定が呼び出されると、連続する 1 対のページが用紙の長辺で綴じる形で両面印刷されるようになります。

paginationDuplex 
ShortEdge

短辺綴じ両面印刷を設定する場合。この設定が呼び出されると、連続する 1 対のページが用紙の短辺で綴じる形で両面印刷されるようになります。

pagination

適用なし

プリンターのページネーション機能(両面印刷など)を設定する場合。

stapleOn

プリンターのステープル印刷機能を有効する場合。

stapleOff

プリンターのステープル印刷機能を無効にする場合。

staple

適用なし

ドキュメントをステープル印刷する場合。

jogNone

プリンターの用紙突き揃え機能を無効にする場合。

jogPageSet

プリンターの用紙突き揃え機能を有効にする場合。

jog

適用なし

トレイの用紙を突き揃えする場合。

Zebra の XDC ファイル用のあらかじめ定義されたシーケンス名を次の表に示します。

名前

シーケンスが呼び出されるタイミング

startDoc

適用されません。

endDoc

適用されません。

startPage

個々のページを開始するごとにプリンターを設定する場合。

endPage

個々のページを終了するごとにプリンターを設定する場合。

carat

命令プレフィックス文字の名前を指定する場合。ほとんどの ZPL コマンドには、^A、^B1、^B2 などのように、プレフィックスとしてキャレット文字(^)が付けられます。

一部の古い Zebra プリンターモデルでは、デフォルトの ^ 文字が、日本語のダブルバイト文字の第 2 バイトとして誤認識されることがあります。これに該当する場合にのみ、デフォルトの ^ 文字を変更する必要があります。

このプレフィックス文字を、感嘆符(!)など別の文字に変更することができます。このように変更すると、^ 文字が指定した文字で置き換えられ、!A、!B1、!B2 のようになります。

tilde

特定のアクション(メモリのクリア、空白ラベルのフィードなど)を直ちにプリンターに実行させる制御命令を実行する場合。

copy

印刷部数を指定する場合。

解決される変数

PRC プリンター用の XDC ファイルでは、書体(フォント)の特性であるフォントサイズまたはフォントピッチを指定するために変数が使用されます。それらの変数については、プリンター常駐フォントを指定するエスケープシーケンスの確認(PCL のみ)の節で説明します。

シーケンス内での変数の使用

シーケンスでは、対応する XCI 設定を持つ var 要素を使用できます。開発者は、それらの XCI 設定をプロセス内で、または Output API を使用して指定できます。実行時、Output サーバーは、XDC ファイル内の変数を同等の XCI 設定内で指定された値で置き換えます。XCI 設定に対応付けられる変数の例を次の表に示します。

シーケンス名

変数名

同等の XCI 設定

copy
<var name="numCopies" />
setCopies
pagination
<var name="duplex" />
setPagination
staple
<var name="staple" />
setStaple
jog
<var name="jog" />
setOutputJog

シーケンスでは、var 要素を使用して、XDL ファイル内で既に定義されている名前付きシーケンスや PDL で定義された名前付きシーケンスを参照できます。次に示す例では pageWidth 変数と pageHeight 変数を使用しています。

<var name="pageWidth"/> <var name="pageHeight"/>

また、シーケンスから別のシーケンスを名前によって参照することもできます。そのような参照は、seq 要素を定義する XML セグメントによって表現されます。次に示す例は、ps_plain.xdc に含まれる startDoc シーケンスの一部です。

<seq use="#pa_preamble" />&#xa;<seq use="#textEncodings" />

このシーケンスでは、同じ XDC ファイル内の別の場所で定義されている 2 つのシーケンス(pa_preamble および textEncodings)を参照しています。これらのシーケンスまたは「Sequences」タブに表示されない他のシーケンスは、XDC Editor で変更できません。

インストール時に一緒に提供される XDC ファイルには、これら以外のシーケンスの例も含まれています。

PCL シーケンスのエンコード

シーケンス用の PDL コマンドは、XML の規則に従って入力する必要があります。つまり、XML で特別な意味を持つ文字を表現するには、<ESC/> 要素と XML エスケープシーケンスを使用する必要があります。一般に使用されるエスケープシーケンスを次の表に示します。

文字

エスケープシーケンス

エスケープ文字

<ESC/>

アンパサンド(&)

&amp;

左山括弧(<)

&lt;

右山括弧(>)

&gt;

改行

&#10; 
&#xA;

復帰

&#xD;

次に示す例は、PCL プリンター用の preDoc シーケンスです。このシーケンスがプリンターに送信される PCL ストリームに取り込まれる前に、エスケープシーケンスが、実際に表示される文字で置き換えられます。次のシーケンスの例では、太字で示した部分がエスケープ文字です。

<ESC/>%-12345X@PJL RDYMSG DISPLAY=""&#13;&#10;@PJL ENTER LANGUAGE = PCL&#13;&#10;<ESC/>&amp;l1T<ESC/>*t600R<ESC/>&amp;u600D<ESC/>&amp;l1X

XML のエスケープ文字について詳しくは、www.w3c.org で XML 仕様書を参照してください。

シーケンスに対する変更

XDC Editor では、あらかじめ定義されたシーケンス名に関連付けられている PDL コマンドを変更することができます。

  1. XDC Editor パネルの下部で、「Sequences」タブをクリックします。

  2. 変更するシーケンスを選択します。

  3. 「Sequence」パネルで、必要に応じて PDL ステートメントを変更します。XML ドキュメント内に記述できない文字を置き換えるには、エスケープシーケンスを使用します。エスケープシーケンスについて詳しくは、PCL シーケンスのエンコードを参照してください。PDL シーケンスについて詳しくは、対応するリファレンスドキュメントを参照してください。

  4. 「Apply」をクリックします。