二次元バーコード

Reader Extensions では、一次元バーコードと二次元バーコードをインタラクティブな PDF フォームに追加できます。さらに、バーコードフォームを Web サイトに公開したり、電子メールや CD でこれらのフォームを配布したりできます。ユーザーが Adobe Reader または Acrobat でバーコードフォームに入力すると、バーコードは自動的に更新され、ユーザーが入力したフォームデータがエンコードされます。フォームは、電子的に送信したり、用紙に印刷して郵便やファックスで送付したりできます。ユーザーが入力したデータは、後で LiveCycle プロセスの一部として抽出できます。このデータは、フォームの種類またはデータ自体に基づいて、該当するビジネスプロセスに転送されます。

バーコードフォームを使用すると、光学式文字読み取り装置(OCR)ベースのフォーム処理は不要になり、手動によるデータエントリに伴うコストを回避できます。入力および印刷用のバーコードフォームからキャプチャしたデータは、100 %の正確さですばやく自動的に電子プロセスに再び投入することができます。また、送信された署名付きのフォームのデジタル画像をアーカイブ用に保持することもできます。

主な機能

Reader Extensions の二次元バーコードで提供される主な機能は以下のとおりです。

  • 印刷とデジタルの両方のフォームの処理を統合する

  • バーコードデータを自動的に抽出および解読し、そのデータをコア IT プロセスに適用する

  • XML、タブ区切り形式またはユーザー定義形式としてエンコードされたバーコードをサポートする

次の図と説明に、二次元バーコードの使用例を示します。

  1. 組織のフォーム作成者は、Designer または Acrobat Professional を使用してインタラクティブなバーコード PDF フォームを作成します。

  2. ユーザーは、Reader Extensions Web アプリケーションを使用して、使用権限をバーコード PDF フォームに適用します。

  3. ユーザーは、Web、電子メールまたは CD を介してバーコードフォームを電子的に公開します。

  4. エンドユーザーは、Adobe Reader または Acrobat でバーコード PDF フォームを開いて、フォームに入力します。ユーザーがフォームに入力すると、そのデータは自動的にバーコードにエンコードされます。

  5. a)紙で送付する場合、ユーザーはフォームを印刷および署名し、郵便やファックスで組織にフォームを送付します。

    b)電子的に送信する場合、ユーザーは送信ボタンをクリックしてフォームデータを電子的に送信します。

  6. a)紙で送付する場合、完成したフォームを受け取ると、組織ではそのフォームをスキャンして電子画像に取り込みます。Barcoded Forms サービスは、スキャンした画像上のバーコードを検出してデコードし、そのデータを指定した形式で抽出します。

    b)電子メールの送信ボタンを使用して電子的に送信する場合、バーコードデータ以外のデータは XML として処理センターに直接送信されます。

    注意: Barcoded Forms サービスでは、Acrobat に保存された PDF ファイルが、スキャンされた TIFF ファイルの送信と同様の方法で直接デコーダーに送信されてきた場合は、この PDF ファイルをデコードできます。

バーコードフォームの作成

フォーム作成者は、Designer または Acrobat Professional を使用してフォームを作成します。作成フェーズでは、XML やタブ区切り文字など、任意の形式を指定して、データをバーコードにエンコードできます。

Designer では、インタラクティブな PDF フォームを最初から作成するか、フォームテンプレートを使用して作成します。フォーム作成者は、画像やその他のオブジェクト(リストボックス、テキストフィールド、コマンドボタン、バーコードなど)をフォーム上にドラッグできます。組織の要件に合わせて、それらのサイズと位置を調整することができます。

Designer にはより高度な機能があり、スクリプトオブジェクトの使用、フォームとデータソースの統合、および流動レイアウトによるフォームの作成ができます。Designer でフォームを作成する利点の 1 つは、フォーム作成者がフォームのソースを直接操作することです。

Acrobat Professional で作成したフォームで、フォームオブジェクトに多くのカスタムスクリプトが関連付けられている場合、フォームにバーコードを追加すると時間と労力を節約できます。

プロセスの作成

開発者は、必要に応じて Workbench を使用してプロセスを作成し、Reader Extensions 固有のビジネスプロセスを含めることができます。Workbench で設計されたプロセスを使用して他のモジュールとフォームプロセスを統合すると、1 つの統一されたフォームプロセスで、各用紙ごとに固有のワークフローを使用して様々な用紙でのフォーム提出を容易にサポートできます(『LiveCycle Workbench 10 のインストール』を参照)。

バーコードフォームの使用権限を Adobe Reader に追加

フォームを顧客に公開するには、組織はバーコードフォームの使用権限を PDF ドキュメントに追加する必要があります。この使用権限を追加すると、バーコードデータがアクティブになり、どの市販のバーコードデコーダーでも PDF フォーム上のバーコードを読み取ることができるようになります。バーコードフォームの使用権限を使用して PDF フォームの使用権限を拡張しなければ、アドビが提供するデコーダーを含むすべてのデコーダーで、バーコードを読み取ることはできません。

バーコードフォームの使用権限に加えて、フォームでは次の機能が有効になります。

  • 完成したフォームまたは部分的に完成したフォームをローカルに保存し、オフラインで入力してアーカイブする

  • フォームに注釈を追加し、電子メールで転送して、サードパーティのレビューを受ける

  • 電子署名を適用し、申請や取引を承認する

  • フォームデータを電子的に送信する

Adobe Reader 8.0 以降では、Reader Extensions によって有効にされた PDF ドキュメントを処理するためにソフトウェアやプラグインを追加する必要はありません。

これらの特別なユーザー機能は、使用権限を付与された PDF ドキュメントを Adobe Reader で開くと自動的にアクティブになります。使用権限を付与されたドキュメントに対する操作を完了すると、Adobe Reader のこれらの機能は再び無効になります。ユーザーが権限を付与された別のドキュメントを受け取るまで、これらの機能は無効のままです。

使用権限はフォームごとまたはドキュメントごとに付与され、その他のフォームまたはドキュメントには適用されません。バーコードフォームの使用権限には、フォームのコンシューマーの数に基づいてライセンスが付与されます。

フォーム入力時のバーコードの更新

ユーザーが Adobe Reader または Acrobat を使用して電子的にバーコードフォームに入力すると、バーコードはユーザーが入力した情報によって自動的に更新されます。

注意: バーコードをサポートしない古いバージョンの Acrobat または Adobe Reader を使用してバーコードフォームに入力すると、バーコードは灰色の長方形に置き換えられます。灰色の長方形は、そのバーコードは更新できないということを示しています。これにより、ユーザーが入力したフォーム上のデータをバーコードが正確に反映していない場合に、フォームの機能により誤ってバーコードフォームが処理されることはなくなります。

バーコードデータを抽出するためのバーコードのデコード

フォーム処理の中心であるこのプロセスは、バーコードフォームのバーコードを正しく処理し、デコードする機能に影響を与えます。バーコードフォームの処理の主な手順には、ドキュメントの作成、バーコードからのデータのキャプチャ、キャプチャしたデータのエンタープライズシステムへの転送などが含まれます。

バーコードからのデータのキャプチャのプロセスは、バーコードフォームの処理に使用するデバイスの種類によって異なります。選択できるオプションには次のものがあります。

  • ドキュメントスキャナーおよび Barcoded Forms サービス

  • ファックスサーバーおよび Barcoded Forms サービス

Barcoded Forms サービスは、スキャンした画像(TIFF または PDF)上のバーコードを検出してデコードし、そのデータを指定した形式で抽出します。抽出したデータは、ビジネスプロセスの一部として Forms などの別のモジュールで使用できます。例えば、Forms では、ユーザーが入力したデータを使用して元のフォームを自動的に再生成したり、空のフォームにデータを読み込んだりすることができます。これによりデジタルに作成されるため、印刷とデジタルの両方(ラウンドトリップ)で処理できるようになります。

キャプチャしたバーコードデータの処理

LiveCycle では、作成したプロセスを使用して、キャプチャしたフォームデータを適切なエンタープライズ処理アプリケーションに自動的に転送できます。作成フェーズではデータ形式を指定できるので、複数のエンタープライズアプリケーション間でフォームベースのデータを移動するのは容易なことです。また、データをアーカイブすることができるので、数ヶ月または数年後でも、元の PDF フォームに入力したときのままの状態で表示することができます。