Adobe FrameMaker の新機能

Adobe FrameMaker の 2022 年 9 月リリースで提供する新機能について説明します。

Adobe FrameMaker には、プラットフォーム、オーサリング、レビュー、コンテンツ管理システム、パブリッシングなど、主要なエリアすべてにおいて、さまざまな新機能、アップデート、および拡張機能が追加されています。このトピックでは、FrameMaker の主要リリースで変更されたすべての機能の概要を説明します。FrameMaker の今回のリリースでは、オーサリングにおける主要な領域のほぼすべて(最終行右揃えの導入、ブックの総ページ数に関するシームレスなサポート、表に関連する機能強化、変更オプションを一覧表示するオブジェクトスタイルやマーカーテキストの導入、PDF のパブリッシングや検索機能(DITA 向け)に関する大幅なパフォーマンスの向上)や操作(AEM コネクター向けのチェックアウト、チェックイン、キャンセルのチェックアウト、および HTML 5 と PDF の出力全般に関連するバグ修正)に関する新しい機能や機能強化が幅広く追加されています。

ヒント: FrameMaker に関するこちらの入門者向けビデオを確認してください。

主要リリースの FrameMaker で変更された点を見てみましょう。

最終行右揃えインデント

FrameMaker では、目次の見出し項目を揃える際のエクスペリエンスがさらに統一されました。目次の見出し項目が長くて複数行にわたっているため、ページ番号がわかりにくくなる場合があります。そのような場合、長い見出し項目のページ番号をすぐに見つけることができません。最終行右揃えインデント機能を使うと、長い見出しを整列させ、ページ番号を個別に、かつ明確に表示させることができるようになりました。

次のスクリーンショットは、最終行インデントがどのように長い見出し項目をわかりやすくするのかを示しています。

図 1. 最終行インデントを有効化していない長い見出し項目

図 2. 最終行のインデント有効化している長い見出し項目

価格表の項目名が長い場合も、目次と同様にこの機能を使って項目を整えることができます。この機能を使うと、価格を右側に離して配置することができるため、視認性が向上しました。最終行インデントの使用方法については「最終行右揃えインデントの適用」を参照してください。

DITA コンテンツの PDF パブリッシング高速化

FrameMaker コンポーネントによる統合文書とブックの PDF パブリッシングが強化され、より高速でシームレスになりました。

大幅に改善されたワークフローで、統合ブックをすばやく生成できます。統合文書は、基本的な PDF です。タイトル、目次、図表リストなどの構成要素は含まれていません。統合文書では通常、多くの文書やメディアファイルを取り込む必要がありますが、このプロセスを手早く進められるようになりました。PDF の生成前に、キースペースの生成とコンテンツ参照の解決も非常に効率的に実行できるようになりました。

この改善された新しいワークフローでは、タイトルページ、目次、前付、後付、図や表の一覧、およびその他のブックコンポーネントを取得する FrameMaker コンポーネントルート(フラットブック階層)で、ブックを経由してとても効率的に PDF を生成できるようになりました。FrameMaker コンポーネントでブックを生成するには、DITA オプションタブで「コンポーネント付きのブック経由で PDF を保存する」を選択します。
図 3. パブリッシュ設定の「DITA オプション」タブ

DITA マップで使用している参照元によっては、PDF 生成パフォーマンスが以前の FrameMaker のバージョンと比較して 5 倍ほど向上しているため、FrameMaker コンポーネントを使用して、統合文書やブックを効率的に生成できるようになりました。PDF の出力や PDF の設定についての詳細は、PDF 出力を参照してください。

DITA 検索のパフォーマンス向上

DITA マップ内のテキストの検索スピードが向上しました。FrameMaker では、文書内のテキストを検索する機能がさらに向上しました。単純な検索や正規表現を使用した検索を、さらに効率的に実行できます。以前のバージョンと最新バージョンを比較すると、検索のパフォーマンスが 15 倍向上しています。

カスタムタグが DTD で定義されている場合、効果的に検索するには .json ファイルにそのタグを追加する必要があります。カスタムタグを追加する方法については、検索をフィルターするカスタムタグの定義を参照してください。
図 4. 検索・置換ダイアログを使用してテキストを検索する

テキストを検索する方法について詳しくは、検索・置換ダイアログを参照してください。

ブック内の総ページ数を表示する

FrameMaker では、非構造化文書内の総ページ数を表示する機能が追加されました。ページ数変数を使うと、ブック全体の総ページ数を表示できます。
図 5. ブック内の総ページ数

ブックの更新ダイアログで「ブック変数」の新しいチェックボックスを選択すると、ブック内の総ページ数をすばやく更新できます。
図 6. ブックの更新ダイアログでブック変数を更新する

ブック内の総ページ数の表示について詳しくは、「ブック内の総ページ数」を参照してください。

ドキュメント内の変数を明示する

変数は、文書全体で再利用する値を定義するのに便利です。オーサリング中は、文書内で変数を定義し、必要に応じて値を変更することが重要です。FrameMaker では、文書内の変数をよりシームレスに識別できるようになりました。
図 7. 文書内の変数をハイライトする

FrameMaker の文書内で使用されている変数をハイライトし、文書内のテキストと簡単に区別できるようになりました。例えば、文書全体の現在のバージョン番号として、「バージョン番号」という変数を作成したとします。この変数をハイライトし、変数の値を変更する前に文書全体で簡単に確認できます。変数のハイライトの詳細については「文書内の変数のハイライト」を参照してください。

AEM コネクターのパフォーマンス向上

FrameMaker では、AEM コネクターのパフォーマンスをさらに向上させました。AEM コネクターを使用すると、文書をとても効率的に管理できます。この機能改善により、文書のチェックイン、チェックアウト、チェックアウトの一括取り消し時のパフォーマンスが大幅に向上しました。パフォーマンスが 10 倍向上したため、一括ファイル操作(フォルダーレベルとファイルレベルの両方)の処理速度が向上し、処理がスムーズになりました。
図 8. AEM コネクターを使用したファイル操作

AEM コネクターを使用したファイル操作の詳細については、「ファイルの使用」を参照してください。

ようこそ画面のユーザーインターフェイスを再定義

ようこそ画面が強化され、文書作成を開始しやすくなりました。FrameMaker 2022 年 9 月リリースでは、シンプルで堅牢な新しいユーザーインターフェイスでシームレスに作業できます。ようこそ画面の左側に、「ホーム」「学習」の 2 つのアイコンが表示されます。

ホームビューでは、最近作業した文書、文書テンプレート、FrameMaker のプリセットなどにすぐにアクセスできます。また、FrameMaker には「モダンエナジー」と「シップガイド」という 2 つの新しいテンプレートとサンプルが用意されています。

ヒント: ようこそ画面の「テンプレートから新しいファイル」アイコンからも、これらのテンプレートにアクセスできます。

最近使用したアイテムパネルが表示され、最近作業した文書のファイルやプロジェクトが表示されるようになりました。

図 9. ようこそ画面のホームビュー

学習ビューでは、ウェビナー、チュートリアル、デモビデオ、製品のアップデート、学習コース、マーケティングコンテンツなどをブラウザーで確認できます。
図 10. ようこそ画面の学習ビュー

詳細は「ようこそ画面」を参照してください。

オブジェクトスタイルタグの変更機能

オブジェクトスタイルは、イメージ、グラフィック、数式、アンカー枠などのオブジェクトの外観に一貫性を持たせるのに便利です。FrameMaker では、文書内の複数のオブジェクトのオブジェクトスタイルを統一して、効率的に変更できるようになりました。構造化 .fm 文書および非構造化 .fm 文書内の特定のオブジェクトスタイルを持つオブジェクトを、とても簡単に一括変更できます。

この機能は、Word 文書を FrameMaker に頻繁に取り込んでいるユーザーに非常に役に立ちます。デフォルトでは、Word のオブジェクトにはオブジェクトスタイルが適用されませんが、この機能を使うとオブジェクトスタイルを一括適用できるため、取り込んだ文書全体でスタイルを統一できます。

例えば、文書全体の画像に MyRed(赤の塗りつぶし色)オブジェクトスタイルタグが適用されていたとします。検索・置換ダイアログを使用すると、既存の MyRed(赤の塗りつぶし色)オブジェクトスタイルタグを別の MyGreen(緑の塗りつぶし色)オブジェクトスタイルタグに簡単に変更できます。
図 11. 検索・置換ダイアログによるオブジェクトスタイルタグの変更

この新しい機能拡張は、オブジェクトスタイルタグが含まれていないオブジェクトを検索して、新しいオブジェクトスタイルを適用する際にも使用できます。例えば、オブジェクトスタイルタグが含まれていないアンカー枠を検索して、MyGreen(緑の塗りつぶし色)オブジェクトスタイルタグを適用できます。

オブジェクトスタイルの詳細については、「オブジェクトスタイル」を参照してください。オブジェクトスタイルを一括適用する方法については、「オブジェクトスタイルの検索と置換」を参照してください。

マーカーテキストの変更機能

マーカーを使用すると、文書内の特定のコンテンツにマークを付けたり、タグを付けたりすることができます。FrameMaker では、相互参照、索引、コンディショナルタグ、数式、用語集、およびその他の目的のために、あらかじめ定義されたマーカーが用意されています。詳しくは、マーカーを参照してください。

すべてのマーカーには、説明やマーカーテキストが含まれています。FrameMaker では、.fm 文書(構造化および非構造化)において、特定のマーカーテキストが含まれているマーカーを簡単に変更できるようになりました。マーカーテキスト全体だけでなく、マーカーテキストの一部を変更することも可能です。この新しい機能は、長い文書内に含まれている特定のブランドや製品のマーカーを、別のブランドや製品に変更するのに便利です。例えば、「Adobe FrameMaker」というマーカーテキストを、「FrameMaker」に変更できます。

図 12. マーカーテキストを検索し、検索・置換ダイアログで変更する

図 13. 変更したテキストを含むマーカー

マーカーテキストを変更する方法については「マーカーテキストの変更」を参照してください。

PDF を出力する際のグラフィックの品質向上

グラフィックは、PDF 出力の重要な要素です。今回、構造化文書と非構造化文書の両方で、PDF 出力のグラフィックが大幅に改善されました。さまざまなグラフィックオブジェクト(破線、円弧、図形、曲線など)は均一に描画され、エッジが鮮明に表示されます。オブジェクトの角やカーブも、はっきりと鮮明に表示されます。以前のバージョンとは異なり、出力を拡大しても画質は変わりません。

次のスクリーンショットは、FrameMaker 2022 年 9 月リリースの PDF 出力におけるグラフィックオブジェクトの改善内容を、以前のバージョンと比較しています。

図 14. FrameMaker 2020 での PDF 出力

図 15. FrameMaker 2022 での PDF 出力

FrameMaker のオブジェクト描画の詳細については「オブジェクトを描画する」を参照してください。

表の機能強化

表は、情報を整理するために非常に便利です。最新リリースでは、表が含まれている文書をシームレスにオーサリングできる機能が数多く追加されました。