PDF ドキュメントに追加する使用権限を選択するには、Acrobat および Adobe Reader について十分な知識を持ち、ドキュメントのセキュリティを制御する方法を深く理解している必要があります。また、PDF ドキュメントの作成者が意図する、ユーザーによるドキュメントの取り扱い方法も理解する必要があります。さらに、権限を付与された PDF ドキュメントのテストおよびデプロイの方法をプランにまとめる必要もあります。
Reader Extensions に対してライセンスされ、選択された秘密鍵証明書によって、利用可能な使用権限が決定される場合、使用権限が設定できない状態になることがあります。例えば、ドキュメントに電子署名を適用する資格を持った秘密鍵証明書を使用すると、Reader Extensions Web アプリケーション上では、電子署名の使用権限のみが設定可能な権限として表示されます。
設定可能な使用権限は、Reader Extensions をアクティベートするときに使用した秘密鍵証明書によって決まります。使用権限の設定対象となるファイルやファイルタイプ(Acrobat PDF または Designer PDF)は何ら影響を受けません。
Web アプリケーションに表示される使用可能な秘密鍵証明書のリストから秘密鍵証明書を選択します。秘密鍵証明書を選択すると、その秘密鍵証明書に関する「プロファイル名」、「有効期限」、「使用目的の通知」を表示することができます。
次の使用権限があります。
- 基本フォームに記入
- フォームフィールドへの入力およびファイルのローカルへの保存をユーザーに対して許可します。
注意: Adobe Reader 7 のユーザーに対しては、フォームに記入するように指示するメッセージが表示されます。Adobe Reader 8 では、このメッセージは表示されません。
- フォームデータの読み込みおよび書き出し
- フォームデータを FDF、XFDF、XML または XDP ファイルとして読み込んだり書き込んだりすることをユーザーに対して許可します。この機能を選択すると、「基本フォームに記入」の機能も自動的に追加されます。この使用権限を選択する場合は、必要な機能に応じて「データベースと Web サービスの接続性」または「埋め込まれた添付ファイル」の使用権限も有効にする必要があります。
- Web ブラウザー以外で送信
- 電子メールまたはオフラインでフォームデータを送信することをユーザーに対して許可します。この機能を選択すると、「基本フォームに記入」の機能も自動的に追加されます。
- データベースと Web サービスの接続性
- フォーム内で指定されたデータベースへのアクセスや Web サービスの呼び出しをユーザーに対して許可します。この機能を選択すると、「基本フォームに記入」の機能も自動的に追加されます。
- フォームフィールドを追加、削除および変更
- フォーム上にあるフィールドを追加したり、削除したり、変更したりすることをユーザーに対して許可します(Designer ベースのドキュメントの場合、この機能は使用できますが、保存した最終的なドキュメントにこの使用権限は適用されません)。この機能を選択すると、「基本フォームに記入」の機能も自動的に追加されます。
注意: この使用権限が適用されていないと、ユーザーの操作が原因でフォームスクリプトによるフォームフィールドの変更とフォームの保存が行われた場合に、この使用権限は無効になります。
- テンプレートからページを作成
- Acrobat で作成されたフォームのフォームテンプレートからページを作成することをユーザーに対して許可します。ユーザーは、同じフォーム内のテンプレートページからページを作成できます(Designer ベースのドキュメントの場合、この機能は使用できますが、保存した最終的なドキュメントにこの使用権限は適用されません)。この機能を選択すると、「基本フォームに記入」の機能も自動的に追加されます。
- 2D バーコードのデコード
- 2D バーコードをサードパーティ製のスキャンデコードソリューションで使用することをユーザーに対して許可します。この機能を選択すると、「基本フォームに記入」の機能も自動的に追加されます。
- 電子署名
- PDF ドキュメントに電子署名して保存することをユーザーに対して許可します。このオプションを選択しない場合も、ユーザーは、電子署名が適用されたドキュメントの検証、表示、印刷は行うことができます。
- コメント
- コメントの作成、編集、読み込みおよび書き出しをユーザーに対して許可します。コメントはファイルと共に保存され、転送されます。この使用権限を選択しない場合、ユーザーに対しては PDF ドキュメントのコメントの表示のみが許可されます。
注意: コメントを作成できるのは、PDF フォームや PDF ドキュメント、または Designer で作成した静的 Adobe PDF フォーム(*.pdf)タイプの静的フォームに限られています。Designer で作成した静的 Adobe PDF フォーム(*.pdf)タイプの動的フォームに対してはコメントを作成できません。
- 埋め込まれた添付ファイル
- PDF ドキュメントに関連付けられている埋め込みファイル(添付ファイル)の追加、削除、変更または書き出しをユーザーに対して許可します。
ユーザーがこれらの機能を使用する場合、その使用方法について詳しくは、Adobe Reader のマニュアルを参照してください。開発者がこれらの機能を使用する方法について詳しくは、Acrobat デベロッパーセンターに掲載されている Acrobat のスクリプティングリファレンスガイドを参照してください。
Reader Extensions では、有効な PDF(PDF バージョン 1.3 以降)に使用権限を追加できます。
ドキュメントの PDF バージョンが 1.6 または 1.7 の場合、Reader Extensions を使用してもバージョン番号は変化しません。この PDF ドキュメントは Adobe Reader 7.0 以降と互換性があります。
ドキュメントの PDF バージョンが 1.3、1.4 または 1.5 の場合、Reader Extensions を使用すると PDF バージョンは 1.6 になります。この PDF ドキュメントは Adobe Reader 7.0 以降と互換性があります。
エンドユーザーが PDF 1.6 ドキュメントを Adobe Reader 7.x で開くと、ドキュメントの一部の機能が現在のバージョンの Adobe Reader で使用できないことを示すメッセージが表示されます。メッセージボックスの「OK」をクリックすると、メッセージを閉じることができます。