互換性の検証

アップグレードの担当者は、最初に既存の LiveCycle 環境を調査し、ソフトウェアインフラストラクチャが LiveCycle ES3 でも引き続きサポートされるかどうか確認します。この調査の結果は、アップグレードに必要な作業量を見積もる際とアップグレードパスを決定する際に役立ちます。

担当者はターゲット環境の調査を人手で実施してもかまいませんが、Enterprise Readiness Tool をダウンロードし、これを実行することで分析作業を実行することもできます。詳しくは、『Using the Enterprise Readiness Tool』を参照してください。

LiveCycle ES Update 1 または LiveCycle ES2 からアップグレードする場合、LiveCycle ES3 へのアップグレード方法に影響する 2 つのシナリオがあります。

インプレースアップグレード:既存のアプリケーションサーバーインスタンスを使用して LiveCycle ES3 にアップグレードすることを、インプレースアップグレードといいます。例えば、LiveCycle ES2 で使用していた WebSphere 7 インスタンス(必要な修正パックをインストール済み)を、引き続き LiveCycle ES3 で使用する場合などが該当します。

この方法では、同じアプリケーションサーバーインスタンスを使用するので、オペレーティングシステムやサーバーコンピューターに変更を加える必要が生じません。

アウトオブプレースアップグレード:次のようなシナリオでのアップグレードを、アウトオブプレースアップグレードといいます。

  • コンピューターの置き換え:既存の LiveCycle インストールを動作させているサーバーコンピューターを、LiveCycle ES3 へのアップグレード時に交換して新しいコンピューターを使用します。

  • アプリケーションサーバーのアップグレード:お使いのアプリケーションサーバーをアップグレードしてメジャーバージョンを変更します。例えば、WebSphere 6.1 を WebSphere 7.0.0.15 にアップグレードする場合などが該当します。

  • アプリケーションサーバーの移行:32 ビット版アプリケーションサーバーを 64 ビット版に移行します。例えば、32 ビット版の JBoss アプリケーションサーバーを 64 ビット版にする場合などが該当します。

注意: アプリケーションサーバー、オペレーティングシステムまたはデータベースを変更する場合は、アップグレードできません。この場合は、新しいインストールと見なされます。例えば、アプリケーションサーバーを WebLogic から JBoss に変更する場合です。

LiveCycle のバージョンとサポートするソフトウェアインフラストラクチャの互換性

LiveCycle ES Update 1 および LiveCycle ES2 でサポートされている一部のプラットフォームは、LiveCycle ES3 でも引き続きサポートされます。ただし、どのソフトウェアについても、LiveCycle ES3 ではより新しいバージョンがサポートされています。すべてのソフトウェアについて、サポートされているバージョンにアップグレードするか、それらのバージョンを使用する必要があります。

チェック対象項目

作業項目

注意点

関連情報

LiveCycle 7.x

適用なし

LiveCycle ES3 への直接アップグレードはサポートされていません。

LiveCycle ES3 にアップグレードする前に、まず、LiveCycle ES U1 にアップグレードする必要があります。『LiveCycle 7.x から LiveCycle ES へのアップグレードの準備』ガイドを参照してください。

LiveCycle ES(8.0.x)

適用なし

LiveCycle ES3 への直接アップグレードはサポートされていません。

LiveCycle ES3 にアップグレードする前に、まず、LiveCycle ES Update 1 または LiveCycle ES2 にアップグレードする必要があります。バージョンに応じて、『LiveCycle 8.0.x から LiveCycle ES 8.2 へのアップグレードの準備』、または『LiveCycle 8.x から LiveCycle 9 へのアップグレードの準備』を参照してください。

LiveCycle ES Update 1(8.2.1.x)

適用なし

LiveCycle ES3 への直接アップグレードがサポートされています。

適用なし

LiveCycle ES 2(9.0.0.x)

適用なし

LiveCycle ES3 への直接アップグレードがサポートされています。

適用なし

LiveCycle デプロイメントの種類

デプロイメントの種類が、シングルサーバーかサーバークラスターかを確認します。

適用なし

適用なし

オペレーティングシステム

サポートされているプラットフォームの組み合わせ』を参照して、バージョンがサポートされているかどうかを確認します。

バージョンがサポートされていない場合。

サポートされているバージョンをインストールするか、アップグレードします。

オペレーティングシステムを変更した場合や、メジャーリビジョンにアップグレードした場合、アウトオブプレースアップグレードと見なされることに注意してください。

アプリケーションサーバー

サポートされているプラットフォームの組み合わせ』を参照して、バージョンがサポートされているかどうかを確認します。

バージョンがサポートされていない場合。

サポートされているバージョンをインストールするか、アップグレードします。

サポート対象のバージョンである場合、アプリケーションサーバーにパッチを適用し、更新したアプリケーションサーバーを実行してから、アップグレードすることをお勧めします。この方法により、アプリケーションサーバーが正常に動作していることを確認した上で、アップグレードすることができます。

データベース

サポートされているプラットフォームの組み合わせ』を参照して、バージョンがサポートされているかどうかを確認します。

バージョンがサポートされていない場合。

サポートされているバージョンをインストールするか、アップグレードします。

データベースドライバー

サポートされているプラットフォームの組み合わせ』を参照して、バージョンがサポートされているかどうかを確認します。

バージョンがサポートされていない場合。

サポートされているバージョンをインストールするか、アップグレードします。

JDK

サポートされているプラットフォームの組み合わせ』を参照して、バージョンがサポートされているかどうかを確認します。

バージョンがサポートされていない場合。

サポートされているバージョンをインストールするか、アップグレードします。

ハードウェアサポート

サーバーコンピューターが、『アップグレードの準備』ガイドの「必要システム構成」で指定されているハードウェア要件に適合しているかどうか確認します。

適用なし

そのサーバー上には、十分なハードディスク領域と RAM が確保されている必要があります。

ファイアウォール

ファイアウォールが有効になっているかどうか確認します。

有効になっている場合。

ファイアウォールを無効にします。

ウイルス対策ソフトウェア

ウイルス対策ソフトウェアがインストールされ、有効になっているかどうか確認します。

適用なし

アップグレード作業中はウイルス対策ソフトウェアを無効にします。

カスタムアプリケーション

すべてのカスタムアプリケーションの状況を確認します。

適用なし

アップグレード後、必要に応じて変更を加えます。

カスタム WAR / EAR

すべてのカスタム WAR および EAR の状況を確認します。

LiveCycle ES3 へのアップグレード時にアップグレードされない場合。

アップグレード後に再度デプロイします。

アプリケーションサーバーのクライアント JAR

すべてのクライアント JAR の状況を確認します。

適用なし

必要であれば、アップグレード後に変更を加えます。

クライアント側アプリケーションの互換性

クライアント側アプリケーションがサポート対象のバージョンにアップグレードされており、LiveCycle ES3 のエンドユーザーインターフェイスが引き続き機能することを確認する必要があります。

チェック対象項目

作業項目

注意点

関連情報

Adobe® Flash® Player

Flash Player 10.2 をダウンロードしインストールします。

アップグレード後にワークスペースが表示されない場合。

適用なし

ブラウザー

サポートされているプラットフォームの組み合わせ』を参照して、サポートされているバージョンをインストールします。

アップグレード後に Adobe® LiveCycle® Forms 10 が表示されない場合。

適用なし

Adobe® Reader®

Adobe Reader のバージョンを確認します。

Adobe Reader 8 よりも前のバージョンはサポートされていません。

詳しくは、「Adobe Reader の互換性」を参照してください。

Adobe® LiveCycle® Workbench 10

Workbench をダウンロードしインストールします。

適用なし

詳しくは、『Workbench のインストール』を参照してください。

Adobe® LiveCycle® Designer 10

Designer をダウンロードしインストールします。

適用なし

詳しくは、『Workbench のインストール』を参照してください。

データ、プロセス、および API の互換性

サーバー上では、プロセスデータおよび設定情報が自動的に移行され、LiveCycle ES3 で利用できるようになります。例えば、以前のプロセスデータが引き続き利用可能になるので、アップグレードの前後にまたがるクエリーをユーザーが実行することもできます。LiveCycle ES3 で必要となる、既存の LiveCycle インストールに関する設定情報は移行されます。スキーマに加えられた変更も、アップグレード時に自動的に処理されます。

LiveCycle ES Update 1 や LiveCycle ES2 で開発されたプロセスまたはこれらのバージョンに更新されたプロセスは、LiveCycle ES3 でネイティブに動作します。長期間有効なプロセスは、アップグレード後に再開されます。既存の LiveCycle システムから移行されるプロセスについては、エンドユーザーが引き続き Workspace にログインし、以前と同じ状態のプロセスを確認できます。LiveCycle ES Update 1 および LiveCycle ES2 で使用されるほとんどの API は、LiveCycle ES3 と互換性があります。

チェック対象項目

作業項目

注意点

関連情報

LiveCycle 7.x QPAC ベースのプロセス

現在使用中であるかどうかを確認します。

LiveCycle ES3 ではサポートされていない場合。

Workbench Process Upgrade ツールを使用して LiveCycle ES3 互換 DSC へアップグレードします。詳しくは、Workbench ヘルプの「LiveCycle 7.x QPAC プロセスのアップグレード」を参照してください。

LiveCycle ES Update 1 のプロセス

現在使用中であるかどうかを確認します。

適用なし

LiveCycle ES3 互換アプリケーションにアップグレードできます。詳しくは、Workbench ヘルプの「既存のアーティファクトのアップグレード」を参照してください。

LiveCycle ES2 のプロセスとアプリケーション

現在使用中であるかどうかを確認します。

適用なし

LiveCycle ES3 でも引き続き動作します。

カスタム QPAC

現在使用中であるかどうかを確認します。

LiveCycle ES3 ではサポートされていない場合。

アップグレード後に、LiveCycle ES3 互換 DSC に置き換えます。詳しくは、Workbench ヘルプの「LiveCycle 7.x QPAC プロセスのアップグレード」を参照してください。

LiveCycle 7.x API

現在使用中であるかどうかを確認します。

LiveCycle ES3 ではサポートされていない場合。

アップグレード後に、LiveCycle ES3 API に置き換えます。

カスタム DSC

すべてのカスタム DSC の状況を確認します。

適用なし

アップグレード後に、カスタム DSC のバージョンをアップデートします。

LiveCycle Client API

すべてのクライアント API の状況を確認します。

適用なし

アップグレード後に、既存の API に変更を加え、LiveCycle ES3 で使用できる新しい API を利用できるようにします。

LiveCycle ES3 コンポーネントのパッチの適用

個々の Document Service コンポーネントに対するパッチ適用をどのように行うかは、次に示す 2 つのシナリオに基づいて決定します。

  • DSC に新バージョンでパッチを適用:DSC の新バージョンがデプロイされると、その DSC は、旧バージョンにパッチが適用されて設定パラメーターが追加されるのではなく、旧バージョンと新バージョンが共存する状態になります。これは、すべての LiveCycle DSC と、デプロイされているすべてのカスタム DSC に該当します。

    例えば、LiveCycle ES Update 1(8.2.1.x)からアップグレードする場合、SignatureService 1.0 および 1.1 がアップグレード前に共存しています。アップグレード後は、SignatureService 1.1 の設定パラメーターが SignatureService 2.0 にコピーされ、SignatureService 1.1 および 2.0 が両方とも使用できる状態になります。

  • DSC に同じバージョンでパッチを適用:DSC の同じバージョンがデプロイされると、その DSC は、以前の設定パラメーターを維持して新バージョンで上書きされた状態になります。

    例えば、バージョン 1.0、1.1、1.2 の 3 つがデプロイされている環境に DSC バージョン 1.2 のパッチを適用すると、既存の DSC バージョン 1.2 が新しい DSC バージョン 1.2 で上書きされます。以前の DSC バージョン 1.2 に適用されていた設定パラメーターは維持されます。また、現在のところ、エンドポイントとセキュリティの設定についてはデフォルト値が適用され、以前の値は引き継がれません。