JavaScript のデバッグ

JavaScript 言語をスクリプトに使用すると、console.println("string") 関数を使用して Acrobat Professional の JavaScript コンソールに情報を出力できます。また、Acrobat JavaScript オブジェクトモデルの alert メソッドを使用して、JavaScript のデバッグを行うことができます。

Acrobat Professional の JavaScript デバッガー

Acrobat Professional の JavaScript デバッガーを使用すると、JavaScript スクリプトをテストできます。このデバッガーには、「PDF プレビュー」タブの JavaScript コードの一部をテストできる JavaScript コンソールが含まれています。JavaScript コンソールには、JavaScript コードの一部をテストし、オブジェクトのプロパティとメソッドを確認するためのインタラクティブかつ便利なインターフェイスが用意されています。インタラクティブな特性を持つ JavaScript コンソールは、コードの 1 行またはコードのブロックの実行をサポートするエディターとして動作します。

Designer で JavaScript デバッガーを有効にして、JavaScript コンソールからコードを実行するには、JavaScript と JavaScript デバッガーを Acrobat Professional で有効にします。

注意: Adobe® LiveCycle® Reader® Extensions 10 がインストールされている場合は、JavaScript デバッガーを Adobe Reader で有効にすることができます。JavaScript デバッガーを Adobe Reader で有効にするには、debugger.js ファイルを入手して、Microsoft Windows のレジストリを編集する必要があります。Adobe Reader での JavaScript デバッガーの有効化について詳しくは、『Developing Acrobat Applications Using JavaScript』(英語のみ)を参照してください。

Designer で JavaScript デバッガーを有効にするには

  1. Designer を起動します。

  2. Acrobat Professional を起動します。

  3. Acrobat Professional で、編集/環境設定を選択します。

  4. 左側のリストから「JavaScript」を選択します。

  5. まだ選択されていない場合は、「Acrobat JavaScript を使用」を選択します。

  6. 「JavaScript デバッガー」の下にある「Acrobat を再起動した後で JavaScript デバッガーを使用」を選択します。

  7. 「インタラクティブコンソールを有効にする」を選択します。このオプションを使用すると、JavaScript コンソールで記述するコードを評価できます。

  8. 「エラーとメッセージをコンソールに表示」を選択します。このオプションを使用すると、ミスをしたときに役立つ情報が JavaScript コンソールに表示されます。

  9. 「OK」をクリックして環境設定ダイアログボックスを閉じます。

  10. Acrobat Professional を終了します。

  11. Designer で、「PDF プレビュー」タブをクリックします。

  12. Ctrl + J キーを押して JavaScript デバッガーを開きます。

JavaScript デバッガーが Designer に表示されない状態を回避するには

Acrobat の JavaScript デバッガーがアクティブな状態で、Designer インターフェイスのコンポーネントをクリックするとデバッガーが表示されなくなる場合は、Microsoft Windows のタスクマネージャーで Acrobat.exe プロセスを停止します。Acrobat を閉じた後も Acrobat.exe プロセスは引き続き実行されるので、Acrobat を再起動する場合に起動時間が短くなります。プロセスを停止すると、JavaScript デバッガーと Acrobat Professional セッションの間の関連付けが終了するので、JavaScript デバッガーを Designer で使用できます。

  1. Windows のタスクマネージャーで、「プロセス」タブをクリックします。

  2. 「イメージ名」列で「Acrobat.exe」を右クリックし、「プロセスの終了」を選択します。

JavaScript コンソールを使用したコードの評価

Acrobat のJavaScript コンソールを使用して 1 つまたは複数のコード行を評価する方法は 3 とおりあります。

コード行の一部を評価するには

 コンソールウィンドウでコードの一部をハイライト表示し、数値キーパッドの Enter キーまたは通常のキーボードの Ctrl + Enter キーを押します。

1 行のコードを評価するには

 コンソールウィンドウで適切な行にカーソルを置き、数値キーパッドの Enter キーまたは通常のキーボードの Ctrl + Enter キーを押します。

複数行のコードを評価するには

 コンソールウィンドウで対象の行をハイライト表示し、数値キーパッドの Enter キーまたは通常のキーボードの Ctrl + Enter キーを押します。

JavaScript コンソールに表示されるコンテンツを削除するには

 コンソールウィンドウの「消去」をクリックします。

最近評価された JavaScript スクリプトの結果は、コンソールウィンドウに表示されます。

各 JavaScript スクリプトの評価後、コンソールウィンドウからはステートメントの戻り値である undefined が出力されます。ステートメントの結果は、ステートメント内の式の値とは異なります。戻り値 undefined が意味するのは、スクリプトの値が未定義であるということではなく、JavaScript ステートメントの戻り値が未定義であるということです。

JavaScript コンソールへのデバッグのフィードバックの提供

JavaScript を使用してスクリプトを作成する場合は、実行時に Acrobat の JavaScript コンソールにメッセージを出力できます。そのためには、Acrobat から JavaScript オブジェクトモデルに含まれる console.println メソッドを使用します。console.println メソッドを開始すると、JavaScript コンソールに文字列値が表示されます。この文字列値には、デバッグ用に作成するテキストメッセージまたはフィールドや式の文字列値を指定できます。

例えば、1 つの数値フィールド(NumericField1)とボタン(Button1)を含むシンプルなフォームデザインについて考えてみましょう。この場合、次の JavaScript スクリプトは、テキストと数値フィールドに現在表示されている値をメッセージとして出力します。ボタンオブジェクトの click イベントに演算またはスクリプトを追加することにより、ボタンをクリックして、新しいダイアログボックスに数値フィールドの値をインタラクティブに表示できます。

    console.println("The value is: " + NumericField1.rawValue);

console.println メソッドおよび Acrobat の JavaScript オブジェクトモデルについて詳しくは、『Developing Acrobat Applications Using JavaScript』(英語のみ)を参照してください。

JavaScript コンソールおよび JavaScript デバッガーについて詳しくは、『Developing Acrobat Applications Using JavaScript』(英語のみ)を参照してください。

alert メソッドを使用したデバッグのフィードバックの提供

calculate イベントでメッセージボックスを返す場合は、Acrobat の JavaScript オブジェクトモデルの alert メソッドを利用できます。例えば、次のスクリプトはテキストフィールドの値を返します。

    var oField = xfa.resolveNode("TextField1").rawValue; app.alert(oField);

alert メソッドおよび Acrobat の JavaScript オブジェクトモデルについて詳しくは、『Developing Acrobat Applications Using JavaScript』(英語のみ)を参照してください。