視覚や身体に障害を持つユーザー向けのフォーム

視覚や身体に障害を持つユーザーの多くが利用するのが、情報を音声で読み上げてくれる、スクリーンリーダーと呼ばれる支援テクノロジーです。スクリーンリーダーは画面上でカーソルが表示されている位置に関する情報をユーザーに伝達します。また、スクリーンリーダーはツールヒントも読み上げることができるので、フォームのデザインにツールヒントを組み込んでおくことは非常に重要です。

各フィールドについて明確に説明するために、ツールヒントのほかに、キャプション、オブジェクト名またはカスタムのスクリーンリーダーテキストも使用できます。また、テキストオブジェクトを使用して、必要な入力の種類を伝えることもできます。入力が必要なフィールドを示す場合は、それが明確にわかるようにする必要があります。例えば、ツールヒントのテキストに「入力必須」というフレーズを入れておきます。

PDF フォームで確実にスクリーンリーダーを使用できるようにするには、各オブジェクトに音声情報を定義し、タグ付きの PDF フォームを生成する必要があります。

同じフォームデザインから HTML フォームを作成する場合、スクリーンリーダーは AHTML 変換によってツールヒントを読み上げることができます。

視覚や身体に障害を持つユーザーのために、以下の項目を考慮してフォームをデザインしてください。

  • 視覚や身体に障害を持つユーザーは、マウスを使用してコンピューターを操作することができません。すべての機能はキーボードから使用できるようにする必要があります。ほとんどのフォームでは、Tab キーおよび Shift + Tab キーを押すことで、フォーム内でカーソルを前後に移動できます。すべてのフィールドおよびボタンについて、Tab キーによる移動が論理的になるようにデザインします。

  • フォームには、入力を完了するための手順を説明した管理用の情報を含めます。適切なタイミングですべての必要な情報が確実に読み上げられるようにするには、ツールヒントを使用します。例えば、ある機能を実行するために、スペースバーを押してボタンを選択したり、下向き矢印キーを押してリストボックスの項目を選択したりといったキーボード操作が必要な場合、キーボード操作に関する情報を音声でユーザーに伝える必要があります。

  • 十分な音声情報をフォームに追加して、要求されている入力のタイプ、およびフィールドに適切に入力する方法をユーザーが正確に理解できるようにします。ただし、過剰な情報はユーザーをかえって混乱させます。

  • フォームの最上部と最下部にナビゲーションボタンを配置します。例えば、フォームの最上部に「データファイルを開く」、「前ページへ」および「次ページへ」といったボタンを追加します。フォームの最下部には、「データを保存」、「データを電子メールで送信」、「トップに戻る」および「印刷」といったボタンを追加できます。

  • フォームによっては、スマートフィールドを使用すると入力が容易になる場合があります。例えば、フィールドの行と列を複数ずつ含む出張申請用のフォームを考えます。ここで、ある行に何らかのデータが入力されたかどうかを、各行の最後のフィールドでチェックすることにします。ある行が空白の場合、Tab キーは空白のフィールドを飛ばして次の項目にジャンプします。

  • 視覚障害を持つユーザーは、カーソルが見えにくいことがあります。ユーザーが選択したカラースキームを使用し、ユーザーが必要とする適切な色によってオブジェクトが表示されるようにします。

  • 視覚障害を持つユーザーは一般的に、拡大プログラムなどの支援テクノロジーを利用します。このプログラムを使用すると、カーソルを拡大表示できます。その他の一般的な拡大プログラムでもフォームをテストして、フォームのアクセシビリティを確認してください。