アプリケーション国際化の基礎

「グローバリゼーション」と「国際化」という用語は、よく同じ意味で使用されることがあります。ただし、ほとんどの定義に基づくと、「国際化」がエンジニアリングプロセスについてのみ使用されるのに対して、「グローバリゼーション」はビジネスプロセスとエンジニアリングプロセスを合わせたものについて使用されます。

以下に、いくつかの重要な用語の定義を示します。

グローバリゼーション
製品および企業の活動を世界規模で準備および立ち上げるために必要な、広範なエンジニアリングプロセスとビジネスプロセスのことです。グローバリゼーションは、国際化、ローカリゼーション、カルチャライゼーションなどのエンジニアリング活動と、製品管理、財務計画、マーケティング、法務などのビジネス活動から成ります。グローバリゼーションは「 G11n 」と略記されることもあります。これは、「Globalization」という単語の先頭が G、末尾が n で、間に 11 個の文字があるからです。グローバリゼーションは「 ビジネスの観点 」で行われる作業を指す言葉です。

国際化対応
複数の言語、スクリプトおよび文化に基づく表記規則(通貨、並べ替え規則、数値および日付の形式など)の設計やコンパイルをやり直すことなく、製品の汎用化を行うエンジニアリングプロセスのことです。このプロセスは、イネーブルメントとローカリゼーションという 2 つの活動に分けられます。国際化は、「 World-Readiness(世界への対応化) 」と呼ばれることがあります。また、「 I18n 」と略記されることもあります。国際化は「 エンジニアリングの観点 」で行われる作業を指す言葉です。

ローカリゼーション
製品またはサービスを特定の言語、文化および対象の地域向けの画面や操作性に適合させるためのプロセスのことです。ローカリゼーションは、「 L10n 」と略記されることがあります。ローカリゼーションは「 翻訳者の観点 」で行われる作業を指す言葉です。

カルチャライゼーション
文化の独自性のニーズに基づいた固有の機能を開発または適合化するためのエンジニアリングプロセスです。この例として、Adobe InDesign で使用可能な日本語組版機能や Adobe Acrobat でのハンコ(スタンプ機能)への対応などがあります。

国際化に関するいくつかの重要な用語とその定義を次に示します。

文字セット
ある言語または言語グループによって使用される文字のことです。文字セットには、各国語文字、特殊文字(句読記号、数学記号など)、数字およびコンピューター制御文字などがあります。

照合順序
テキストを特定のロケール用に適切な順序に並べ替えることです。

ロケール
地理、政治または文化によって区分された地域(多くの場合、それぞれが 1 つの国に該当します)で使用される言語と文化上の表記規則を表す値のことです。この値は、一意のロケール識別子(ロケール ID)によって表されます。ロケール ID は、そのロケール固有のサポートを提供する一連のロケールデータを検索するのに使用されます。このサポートは、測定単位(つまり、数字や日付などの解析とフォーマット)に適用されます。

リソースバンドル
アプリケーションが使用されるロケール用に作成されるロケール固有の要素を格納したセットのことです。通常、リソースバンドルには、アプリケーションのユーザーインターフェイスのテキスト要素がすべて含まれます。バンドル内では、これらの要素は特定のロケールの適切な言語に翻訳されています。また、特定のロケール用のユーザーインターフェイスのレイアウトや動作を変更する、その他の設定も含めることができます。リソースバンドルには、他のメディアタイプや、ロケールに固有の他のメディアタイプへの参照を含めることができます。