オブジェクトプーリング

可能な場合は、オブジェクトプーリングを使用してください。

重要な最適化の一つに、オブジェクトプーリングと呼ばれる手法があります。この手法では、長い期間にわたってオブジェクトを再利用します。アプリケーションの初期化時に、限られた数のオブジェクトを作成し、プール内に Array オブジェクトや Vector オブジェクトなどとして格納します。オブジェクトを格納したら、それらを無効化して CPU リソースを消費しないようにします。また、相互参照はすべて削除します。ただし、参照を null に設定しないでください。これを行うと、ガベージコレクションの対象となる可能性があります。オブジェクトをプールに戻し、新しいオブジェクトが必要になったときに、そのオブジェクトを取得します。

オブジェクトを再利用すると、オブジェクトをインスタンス化する必要が減ります。オブジェクトのインスタンス化には費用が掛かります。また、アプリケーションの動作速度を低下させる可能性のあるガベージコレクターの実行回数も削減されます。次のコードは、オブジェクトプーリング手法を示しています。

package 
{ 
    import flash.display.Sprite; 
     
    public final class SpritePool 
    { 
        private static var MAX_VALUE:uint; 
        private static var GROWTH_VALUE:uint; 
        private static var counter:uint; 
        private static var pool:Vector.<Sprite>; 
        private static var currentSprite:Sprite; 
  
        public static function initialize( maxPoolSize:uint, growthValue:uint ):void 
        { 
            MAX_VALUE = maxPoolSize; 
            GROWTH_VALUE = growthValue; 
            counter = maxPoolSize; 
             
            var i:uint = maxPoolSize; 
             
            pool = new Vector.<Sprite>(MAX_VALUE); 
            while( --i > -1 ) 
                pool[i] = new Sprite(); 
        } 
         
        public static function getSprite():Sprite 
        { 
            if ( counter > 0 ) 
                return currentSprite = pool[--counter]; 
                 
            var i:uint = GROWTH_VALUE; 
            while( --i > -1 ) 
                    pool.unshift ( new Sprite() ); 
            counter = GROWTH_VALUE; 
            return getSprite(); 
             
        } 
  
        public static function disposeSprite(disposedSprite:Sprite):void 
        { 
            pool[counter++] = disposedSprite; 
        } 
    } 
}

アプリケーションの初期化時に、SpritePool クラスが新しいオブジェクトのプールを作成します。 getSprite() メソッドでこれらのオブジェクトのインスタンスを返し、 disposeSprite() メソッドでインスタンスを解放します。このコードでは、プールを使い切ったときにプールを拡大することができます。固定サイズのプールを作成することも可能です。この場合は、プールを使い切ると新しいオブジェクトを割り当てられなくなります。可能な場合は、ループ内での新しいオブジェクトの作成は避けてください。詳しくは、 メモリの解放 を参照してください。次のコードでは、SpritePool クラスを使用して、新しいインスタンスを取得します。

const MAX_SPRITES:uint = 100; 
const GROWTH_VALUE:uint = MAX_SPRITES >> 1; 
const MAX_NUM:uint = 10; 
  
SpritePool.initialize ( MAX_SPRITES,  GROWTH_VALUE ); 
  
var currentSprite:Sprite; 
var container:Sprite = SpritePool.getSprite(); 
  
addChild ( container ); 
  
for ( var i:int = 0; i< MAX_NUM; i++ ) 
{ 
    for ( var j:int = 0; j< MAX_NUM; j++ ) 
    { 
        currentSprite = SpritePool.getSprite(); 
        currentSprite.graphics.beginFill ( 0x990000 ); 
        currentSprite.graphics.drawCircle ( 10, 10, 10 ); 
        currentSprite.x = j * (currentSprite.width + 5); 
        currentSprite.y = i * (currentSprite.width + 5); 
        container.addChild ( currentSprite ); 
    } 
}

次のコードでは、マウスをクリックしたときに、表示リストからすべての表示オブジェクトが削除されます。削除された表示オブジェクトは後で別のタスクに再利用します。

stage.addEventListener ( MouseEvent.CLICK, removeDots ); 
  
function removeDots ( e:MouseEvent ):void 
{ 
    while (container.numChildren > 0 ) 
        SpritePool.disposeSprite (container.removeChildAt(0) as Sprite ); 
}
注意: プール内の Vector オブジェクトは常に Sprite オブジェクトを参照します。オブジェクトをメモリから完全に削除する場合は、SpritePool クラスの dispose() メソッドが必要です。このメソッドは、残っているすべての参照を削除します。